7月に入り、本格的に暑くなってきました。
久しぶりにブログです。
シナノスイート。玉が伸びてきました。
http://mainichi.jp/articles/20160709/k00/00m/020/155000c
新聞で見つけたのでリンクしてみました。
日本が収穫マシーンを開発するんだ!楽しみだねぇ!
収穫をアシストする機械はすでに海外に色々ある様ですね~。ネットで検索する程度でも色々出てきますので、まずはそれを下に貼ってみました。なかなか面白い動画ですよ。
こんな陽気な音楽、収穫中の僕の頭には流れていません。
吸引力の変わらない唯一の収穫機(嘘でーす。笑)
加工用になるとさらに大胆な収穫になりますね。笑。機械の動きが愛嬌あるなぁ。
バックミュージックのラグ・タイムが合うねぇ。
こちらも加工用りんごの収穫。シェイカーでゆすって一気に落とすタイプ。
ギリギリまで熟度を上げて収穫することを考えると、手で収穫していては間に合わないとか前に読んだ記事にありました。
仕事とは、人の「動き」の連続で、つながった一連の「動き」が何らかの価値を生み出している状態を「仕事している」と僕は考えます。それで仕事を構成している「動き」には川の流れの様にひとすじの流れがあって、そのどの部分を、どの程度補助するのか、どこに働き手は負荷を感じているのか、どこをサポートしてやると、劇的に生産性が上がるのかを考えながら、機械化をするならした方が、働き手としては助かる訳でございます。
りんごの収穫に関して、具体的に順序だてて考えてみます。
下にまるちゃん農園の収穫作業の概略を書きだしてみました。
1回の収穫で果実を全部収穫する場合について。
①歩く高さで、収穫カゴを手に持ち収穫。
②りんごでいっぱいになった収穫カゴを下に置く。
➂脚立をかけて高い所のりんごを、収穫カゴに収穫する。
④脚立を降りて、りんごでいっぱいになった収穫カゴを下に置く
⑤収穫カゴを回収する
⑥選果してコンテナに詰める。
⑦りんごでいっぱいになったコンテナを畑に積む
⑧畑に積んだコンテナを回収
さて、ここでもう一度、上の収穫の動画(一番最後の加工用のりんごは除きます)をご覧になって頂きたいのですが、①~⑧の「動きの」負荷のかかるところを上手にサポートしています。
→は動画の収穫マシーンをまるちゃん農園に導入した場合に変化するところを書きだしてみました。
①歩く高さで、収穫カゴを手に持ち収穫。
→収穫カゴを持つ必要がなくなります。ベルトコンベアーにりんごの載せる、または吸い込み口にりんごを入れるだけになります。重さからの解放。
②りんごでいっぱいになった収穫カゴを下に置く。
→収穫カゴを持つ必要が無いので、カゴを置く動作が無くなります。仕事の軽減。
➂脚立をかけて高い所のりんごを、収穫カゴに収穫する。
→脚立をかける必要が無くなります。脚立を持って移動する動作がなくなります。脚立の上で収穫かごを持つ必要もなくなります。脚立を登るときに転倒することもなくなります。
④脚立を降りて、りんごでいっぱいになった収穫カゴを下に置く
→脚立を登ることがないので、当然降りる必要もなくなります。膝や腰への負担軽減。降りるときに脚立から転倒することもなくなります。
⑤収穫カゴを回収する
→収穫カゴを回収する労働がなくなります。従って、りんごのいっぱい入ったカゴを持ち上げる「動き」がなくなります。仕事の軽減。
⑥選果してコンテナに詰める。
→これは収穫、選果の体系が根本的に異なります。収穫時の小さなコンテナの使用がなくなります。大きな箱にりんごを回収します。贈答品のりんごを収穫するには不向きな手法だと考えます。
⑦りんごでいっぱいになったコンテナを畑に積む
→小さなコンテナを積み上げたり、積み直したりする必要がなくなります。労働の軽減。
⑧畑に積んだコンテナを回収
→コンテナの回収は変わらず必要です。但し扱う重量が大きくなりますので、回収用のトラクタなどの設備投資が必要になります。
結論から言うと、良くできた機械ですよね。
さて、話を新聞記事に話を戻します。今回日本が開発予定の収穫マシーンの概要は
・電動車両がレーザーレーダーで樹木を認識し自動走行する。
・腕型のロボットが果実の形や色を検出して実の形や色を検出する。
・農薬の散布や草刈の機械をけん引できるようにする。
同時に
・機械で効率よく収穫できる樹形に栽培する技術を開発する。
目標は
・果樹生産の作業時間を最大5割減らす。
とあります。現場感覚からすると、うちの様な2ha程の日本では中規模な農家の本当に負荷の掛かっているところをしっかりサポートしてくれる様な機械が出来上がるとは思えない内容に感じてしまうのですが・・残念ですが。また新聞の挿絵が現実感を感じさせないのもいけない。
一発取りではなく、選んで収穫する場合に対応した機械を目指してる様子なのですね。正直、選んで取る部分はそれほど負荷を感じていないのですよ。各品種の栽培面積はふじ以外小さいですしね。もし導入する場合はどの程度の栽培面積からなら採算が合うのかみたいな事も考えて設計や価格なども決めて頂ければと勝手に希望を書いておきます。電動車両みたいですが充電はどうなるのでしょうか?畑にコンセントは無いし。機械の運搬は軽トラで出来るのかな?雨や強風の場合は?枝が揺れていた時には、それにアームは合わせられるのかな?大きなりんごの木だと4m以上ある場合もありますが、それにも長いアームでスピーディに対応できるのだろうか?ウィーンて高くなるのでしょうか?
次から次に「?」が脳裏に湧いてきますね。
本当に農家の役に立つ機械を開発して頂くために、まず、農家がどのポイントに負荷を感じているのか正確に調査して、それから、機械のコンセプトをしっかり考えてほしいなぁ(もちろんやってるでしょうけれど。)
現場を沢山まわって、どの仕事の何を、どれだけ低コストでサポートできるか考えてほしいなぁ、折角研究するなら。本当にレーザーレーダーが必要なのかなぁ。りんごを掴む、離す、箱に収めるという一連の収穫の基本動作を、スピーディに果実の欠損率を、色々なコンディションの中で、限りなくゼロにして行うことは相当難しいのではないかと想像しています。上の動画の収穫マシーンは大きな箱に収穫していましたが、もし同様に大きな箱に収穫するのならば、選果場の受け入れ態勢も変えなくてはならないでしょう。従来の小さな収穫コンテナを使う場合は、そこに果実を入れる技術もかなり高度になるような気がするし、小さな箱の充填と搬出方法を合わせて考えなければならないでしょう。つまり仕事の「動き」をよく研究しないといけないと思います。
2020年までの研究課題だそうなので、僕は期待していますよ。恐らく「600万以下」でも買うことは出来ないと思いますが。もし2020年、僕が激しくマシンを求めていて、でもそれに合う物が日本になければ、仕方がないですけれど、たっぷり補助金を申請して、海外のメーカーに買い付けに行かせていただきますね。だからそうならないように頑張ってくださいね。
さて、作業時間を最大5割減らすのが目標との事ですが、でしたら、収穫や草刈や農薬散布も良いですが、摘花・摘果・剪定をなんとかしないと。
例えば摘花はこんなのがありますね。
ダーウィン・ストリング・シナー。摘花する機械。
いいねぇ。大胆。発想と行動が直結されている様なマシンだ。
剪定ならこんなのが。
p>
FAMAのトリマー。剪定マシーン。
爆音でハードロックを聞きながら作業したいねぇ!
農薬散布ならSSCDシステムってのがありますよ。
Solid Set Canopy Delivery System
日本の研究機関がどんなイノベーションを現場に起こしてくれるのか今からワクワクです。
最後に自分の畑の様子。
バイアキシス苗を左右に開いて、芽傷を入れて4軸化しています。開いた2軸のそれぞれの中間点から新梢が成長してきています。なかなか上手くいっていますよ。
バイアキシスの先にはこのような多軸栽培の世界が広がっています。