なんとなく安曇野。

赤、黄、緑色の物体を生産しています

   

天気は下り坂。

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授粉樹のドルゴクラブの芽の様子。ちょっと緑がみえてきました。

いつもこの時期に本当に葉っぱが出てくるかなぁと根本的な所で不安になりますが、まぁ毎年出てくるから大丈夫でしょう。もう少しで葉が出て花が咲いて色彩豊かなりんご畑になってきます。もうちょっともうちょっと。

 

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ふじの芽。ちょっと膨らんできた?(^^)

 

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Bi-axisの秋映。樹間1.2mで軸間60㎝。僕はこの軸間(60㎝)をスピンドルでやると恐らく収穫逓減の法則(Diminishing returns)に従い園地の経済寿命を縮めてしまうのではないか考えています。世の中には色々な栽培方法がありますが、どのような方法でも美味いりんごをちゃんと収穫できることが大前提です。

 

苗木関連の仕事は接ぎ木を残してだいたい落ち着きました。約半月地面にへばりついて仕事していたのですが、土をいじる仕事は毎度のことながら手はかなり荒れますけど土の湿り気とか温もりを感じられて好きな仕事のひとつであります。朝夕とニベアを塗りつつ、妻と共にやり切りました。途中応援に来てくれたI君ありがとう。

 

これで中断していた剪定に戻りつつ、芽傷入れを開始して、接ぎ木も始めます。

 

話題は変わって 

Good Fruit GrowerからIFTA 2017年ツアー初日の記事をはっ付けておきます。

 

Bi-axisの2つの軸を揃える手法の検討とDel Feigal氏のさらに進化したVトレリスの話題に興味が湧きました。記事の最初の写真のJim Divis氏のBi-axis園もちょっとラフですけど軸は揃っている様に見えますね。畑って運営する人の個性が良くでますから面白いです。2つの軸を均等に育てることが重要であって、まぁあとは木はある程度の範囲に収まってくれればOKみたいな感じでしょうか。

 

 Del Feigal氏のVトレリスですが前回2015年にSilver Apple Awardを受賞した時のものから比べると(下のリンク)、ワイヤーの数も減ったし、高さもちょっとコンパクトになったのかな。脚立やプラットホームを極力使わず地面に立って安全に効率よく仕事のできる園地を目指していると。そのための列間やVトレリスの角度はどれぐらいがいいだろかみたいな、こういうのが物作りの醍醐味ですね。

 

今春まるちゃん農園でもVトレリスを導入しはじめましたが、もともとVトレリスは1975年にオーストラリアのBas van den Ende氏らが発表した論文「The 'Tatura Trellis' , a new design for high yielding orchards. (journal of Agriculture Victoria 73, 473-476)」というのが大元で、この論文が発表されてから世界中で本格的に商業ベースでのリンゴ園で導入されてきた経緯があるようです。まぁ世に出て40年ちょっとなのですが、最初は中心角60°ぐらいからスタートして現在では35°あたりちょっと急角度のものが世界の主流になっているようです。いま述べた事などやあと基本的な整枝法などは下の本にまとめられていますので興味のある方は是非読んでみてくださいね。

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 この本はたまにパラパラめくって参考にしているのですが、色々視察に行くのも大変ですし専門書でも読んで勉強しとこかと就農してしばらくして購入しました。600ページもあって結構お高い本ですが正直これはとても役立っています。

 

それで、今回Vトレリスを導入するにあたり、上で少し紹介しましたオーストラリアのBas van den Ende氏が書いた下の2つのマニュアルも参考にしています。一応参考までに紹介しておきますね。

下記リンクで購入もできますし、本のサンプルも見ることが出来ます。興味のある農家さんはご覧くださいね。

 

APPLE ON OPEN TATURA 

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このマニュアルでは基本的なVトレリスの仕様が紹介されています。写真や図も多く見て直感的に理解できるようになっています。Vトレリスの話ばかりではなく、リンゴ栽培の基本的な話もちゃんと触れられていてとても価値のある一冊だと思います。今回まるちゃん農園でつくったVトレリスのサイズはこの中で紹介されているものをほぼ再現しています。Bas van den Ende氏は大きな脚立や機械に乗らずとも地べたから出来るだけ栽培管理できるVトレリスを導入すべきだと主張しています。Del Feigal氏の今回公開された圃場のコンセプトと同じですね。

 

■Branchless multi-leader apple tree 

  Start & maintain a branchless multi-leader apple orchard

 

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2軸、4軸のりんごの木をVトレリスを使って栽培しようというもの。1つめのマニュアルの応用編です。3軸の議論は真ん中の軸の樹勢コントロールが難しく、また4軸以上の例えば6軸の木だと樹形が完成するまでに2軸、4軸と比べ多くの時間が掛かるため経済合理性に欠けるとの事で2軸と4軸の議論をしています。このマニュアルの中では半わい性台木のMM106で話が進められているので、そこは注意が必要です。

 

 

これから日に日に展葉してきます。今年はどんなシーズンになるでしょうか。

 

 

※今回色々紹介しましたがブログの内容に関しては一切責任は負いかねます。最終的には自分で資料を読んで自分で確認して取り組んでくださいね。あしからず。

苗の仕込み。

苗木を植え終わって今度は今年の苗木の仕込みを始めています。

 

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この写真はリンゴ畑の通路を耕したものなのですが、ここで本年度の苗木の仕込みをはじめています。この畑は有効土層が約50~60㎝程度なのですが長年通路として農機や車が通っていたため非常に硬くなってしまっていました。そこで毎年冬の間にバックホーを使い硬くなった部分を深さ60センチ程度まで破砕し、ロータリーで耕耘し、土壌分析をして塩基類のバランスを整えるように施肥し準備をしています。

 

僕の管理している園地は石だらけのところもあれば、写真のようにそうでないところもあるので、園地ごとに最大限活用できるように色々考えて畑を運営しています。時代は高密植栽培で広い通路は無駄だみたいな雰囲気がありますが、もともとのスプリンクラーの水のラインなど動かせないインフラもありますから、簡単に列間を切りなおせない状況も多いので、僕はスタンダードなVトレリスと通路での苗の栽培を通して、園地の生産性を可能な限り大きくしていきたいと考えています。視点を変えれば、広い通路も全く不利にならないし、それどころかなかなか使える資源でないかなと考えております。

 

因みにこれまで栽培していた樹列下の土壌を分析するとリン酸とカリがぶち抜けて多いのですが、約1メートル通路側に入ると別の畑じゃないかと思うぐらいリン酸とカリが集積していないですね。栽培履歴がそのまま数字になって出てきているのですが、過剰でめちゃくちゃよりも不足していてこちらで調整できるの方がやりやすいですね。改めて、通路をちゃんと使った方がええなぁと思います。

 

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引き上げた芽接ぎ苗。僕は通常のsleeping eyesより一段階早く取り木床で芽接ぎをしてしまっています。通常の切り接ぎもしますが、目接ぎ苗についてはこれを苗畑に植えて終了なので少し手間が省けます。

これから開花の5月にかけてどんな天気になるか気がかりです。寒すぎたり暑すぎたり変な春にならない様に祈るばかりです。